個人の借入金が法人に思いの外引継げないパターン
個人開業医として
銀行から融資を受けて
医療法人成りをした際に
思いの外個人の借入金を引継げないパターンはよくあります。
行政側の考えとしては過度に医療法人へ借入金を引き継ぐと経営を圧迫してしまうという考えから
個人から医療法人へ借入金の引き継ぎは厳し目です。
特にコロナ融資を個人として融資を受けていて
医療法人へその借入金を引き継ぐことはかなり微妙です。
機械設備等を法人へ拠出しているパターン
医療法人なりをする際に
ドクター個人に帰属する機械設備等を
法人へ拠出するやり方があります。
このようにした場合
個人は法人へ資産を拠出した形となるので
基金として処理します。
基金は個人に対して法人がお金が出来た際に
個人にお金を返すことを難しくします。
基金の払い戻しは一定期間禁止されており、
かつ手続きも必要になるためです。
給与から返済しなければならない非効率
個人に負債が残った場合、その返済原資として院長の給与が用いられます。
実際の生活を考慮した給与が額面月120万円として
借入金返済が月100万円あるため、その分月130万円を給与に
上乗せしたとします。
月120万円+130万円=月250万円
月250万円☓12ヶ月=年収3000万円
年収3000万円⇒社会保険料込で手取りおよそ1800万円
仮に個人事業主の課税所得3000万円として⇒社会保険料込で手取りおよそ1800万円
あんまり変わらないことないですか?
節税目的においても医療法人を設立したのであれば
その目的を達成しているでしょうか。
医院経営自体も圧迫
当然ですが、院長の給与を増額すれば
それが必要なものだったとしても
医療法人にそれだけの利益がなければ
医療法人にお金は残りません。
結果、医療法人自体も資金繰りが苦しくなります。
そうなると、個人事業主のときはあれだけお金を貸してくれていた
銀行も法人にお金を貸してくれなくなってきます。
対策
1️⃣医療法人成りの手続きを丸投げしない
外注することが悪いというわけでは有りません。
ただ、あまりにも任せすぎて進捗確認を怠れば
コミュニケーション不足からくる認識違いが生じて
意図しない結果を得る可能性が高まります。
2️⃣シミュレーションを行う
節税効果のシミュレーションだけでは有りません。
例えば、金融機関に問い合わせを行い、
もし医療法人成りした場合、個人から移すことができる
借入金はどれくらいか担当者に聞くようにしましょう。
3️⃣準備期間を相当程度確保する
最低でも8ヶ月~1年間とるつもりでいましょう。
医療法人成りは万能の器ではありません。
先生本人、ご家族、スタッフ、会計事務所、行政書士、司法書士、金融機関、保健所、取引先
様々な方と直接なり間接なり調整が必要です。
まとめ
今日は医療法人成りをきっかけに資金繰りが悪化するパターンを書いてみました。
資金繰りに困ることなく適切な医療経営がなされることを願います。
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